頭痛とは
頭痛は多くの人が経験する身近な症状で、頭や首の周囲に感じる痛みを指します。
痛みの程度や感じ方は人によって異なり、軽い鈍痛から激しい刺すような痛みまで幅広いのが特徴です。
頭痛には明確な原因がない慢性的な「一次性頭痛」と、外傷や他の病気が原因で起こる「二次性頭痛」の大きく2種類があります。
頭痛は生活の質に影響を与えることが多く、特に慢性的な頭痛は仕事や学業に支障をきたすこともあるため、早めの適切な対処が必要です。精神的ストレスや疲労、不規則な生活習慣も頭痛を悪化させる要因となるため、全身の状態を総合的に診ていくことが大切です。

一次性頭痛の主な種類
一次性頭痛は、明確な疾患がない頭痛で、代表的なものは次の通りです。
| 緊張型頭痛 | 長時間のパソコン作業や姿勢の悪さ、精神的な緊張により首や肩の筋肉が固まって起こります。頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。 |
| 片頭痛 | 脳の血管が広がり炎症を伴うため、片側にズキンズキンとした痛みが現れます。吐き気や光、音に敏感になることもあり、数時間から数日間続きます。特に女性に多く、月経や気圧の変化がきっかけとなることもあります。 |
| 群発頭痛 | 片側の目の奥やこめかみ周辺に激しい痛みが周期的に起こり、涙や鼻づまりを伴うことがあります。発作は数週間から数ヶ月の期間に集中する傾向があります。 |
二次性頭痛について
二次性頭痛は、頭部外傷や脳の病気、感染症など他の疾患に伴う頭痛です。次のような場合は医療機関に早めに受診されることをおすすめします。
- 突然の激しい頭痛や、これまでに経験したことのない痛み
- 意識障害や嘔吐、発熱、手足のしびれ・麻痺などの症状を伴う場合
- 頭部外傷後に頭痛が続く場合
- 頭痛に加えて視力低下や言語障害がある場合
こうした症状が見られた際は、速やかに専門医の診察を受けるようにしましょう。
頭痛の治療法

一次性頭痛には、症状に合わせて筋肉の緊張を和らげる薬や、片頭痛には血管収縮剤などが用いられます。群発頭痛の場合は酸素療法が効果を示すこともあります。薬には副作用もあるため、自己判断での服用は控え、医師の指示に従うことが大切です。
また、生活習慣の改善も症状緩和に役立ちます。適度な運動、質の良い睡眠、ストレスの軽減など、日々の習慣を見直すことで体調の安定に繋げていきます。治療は継続して経過を観察しながら、患者様の体調に合わせて調整していきます。
漢方治療では、雨降り前(気圧変化)、月経前後、手足の冷え、朝方の頭痛、ストレス、肩こりなどに着目して治療薬を選択します。
頭痛に処方する漢方
| 葛根湯(かっこんとう) | 首や肩のこり、緊張型頭痛に効果的。筋肉の緊張を和らげ血行を促進します。風邪の初期症状にもよく用いられる基本処方です。 |
| 加味逍遥散(かみしょうようさん) | ストレスやイライラ、不眠を伴う頭痛に適します。自律神経のバランスを整え、心身の緊張を緩和し、女性特有の症状にも対応。 |
| 桃核承気湯(とうかくじょうきとう) | 血行不良や瘀血(血の滞り)による片頭痛に用いられ、血の巡りを促進してズキズキする痛みや前兆の症状緩和に役立ちます。 |
| 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) | 精神的な緊張や不安感が強い場合に処方。動悸や不眠を改善し、心身のリラックスを促します。 |
| 呉茱萸湯(ごしゅゆとう) | 片頭痛や吐き気、嘔吐を伴う頭痛に効果的。体を温めて血流を改善し、胃腸の調子も整えます。特に冷えを伴う拍動性頭痛に適応します。 |
| 五苓散(ごれいさん) | 気圧の変化や雨天で悪化する頭痛、水分代謝異常に効果的。むくみやめまいがある場合に用い、余分な水分を排出して体調を整えます。 |
| 釣藤散(ちょうとうさん) | 慢性的な頭痛やめまい、高血圧傾向の方に適用。早朝の頭痛や神経質な方の緊張を和らげ、鎮静作用があり胃腸にも優しい処方です。 |
| 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう) | めまいや立ちくらみ、動悸を伴う頭痛に用いられます。水分代謝の乱れによる症状の改善を促します。 |
| 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | 血流や水分バランスの乱れが原因の頭痛、冷えや貧血傾向のある方に適します。身体を温め、巡りを整えることで頭痛を和らげます。 |